一人親方になるには?手続きの方法と一人親方のメリット紹介
一人親方になるためには?
企業に勤めている人で、一人親方になろうとしているのですが踏ん切りがつかない人もいるのではないでしょうか。今よりも収入をあげるために独立したいと思っているけれど、どうやったら一人親方になれるのかを知りたい人に向けて今回は一人親方になるための方法を紹介します。
一人親方とは
一人親方は簡潔に言うと、従業員を雇っていない特定の分野の事業主のことです。
特定の業種は7つあり、
・建設事業者
・漁業
・林業
・個人タクシー、貨物運送者
・廃棄物処理業
・医薬品の配置販売業
・船員
です。ここでは、主に建設業の一人親方について紹介していきますが、一人親方のなり方はどの業種でもほぼ同じですので、参考にしてください。
一人親方になる手順
一人親方になるためには、なると決めるだけではいけません。公的に認めてもらう必要があります。順番に説明していきます。
【開業届】
まずなによりも始めに行うのが開業届を出すことです。税務署に開業届を提出することで、社会的に一人親方であることが認められます。開業届は事業開始から1か月以内に提出する必要がありますので、気を付けましょう。
【所得税の青色申告承認申請】
青色申告は確定申告の際に必要なものです。確定申告時に通常の白色申告ではなく、青色申告をすることで、節税対策になりますので、申請をしておきましょう。
青色申告申請は誰でも出来るわけではなく、事業所得・不動産所得・山林所得がある個人事業主のみ出来るので注意しましょう。青色申告申請は事業開始から2カ月以内の提出が必要です。
【屋号での口座開設】
個人事業主になると、自分名義ではなく屋号での口座開設が可能になります。屋号で口座開設を行うと、経費の計算がしやすくなり、確定申告も容易になります。また、取引先との信頼度の向上にも繋がりますし、プライベートとの費用をしっかりと分けることが出来ます。
【個人事業開始申告書】
事業を開始したことを県税事務所に提出・報告します。個人事業は地方税に関係するので、国税庁ではなく、県税事務所に申告しましょう。申請書は都道府県によって異なりますので、専用のものを用意しましょう。
【国民保険・国民年金】
会社勤めをしていた人は、社会保険から国民保険や国民年金に切り替えが必要になります。
どちらも国民の義務として支払う必要がありますので、必ず加入申請を行いましょう。
国民保険も国民年金も退職から14日以内に窓口で手続きする必要があります。14日を過ぎてしまった場合でも加入可能ですが、保険料の支払いが資格喪失日からその日までの分を請求されます。
【一人親方特別労災保険】
本来は加入することの出来ない労災保険ですが、事業主である一人親方でも加入できるようになっている特別加入制度があります。一人親方は現場に出ることもあり、怪我や事故の危険性がとても大きいので、万が一のために加入しておきましょう。
【青色事業専従者給与に関する届出】
青色事業専従者給与に関する届出は、配偶者や家族が仕事の手伝いを行っている場合に必要なもので、家族の報酬を所得から控除できます。節税対策として非常に効果的なので、ぜひ用意しましょう。
【給与支払い事務所等の開設届】
こちらも家族の手伝いや従業員を雇う場合に必要な書類です。給料支払い時に所得税を天引きして税務署に支払うことになります。
この書類を提出しないと納付書が郵送されず、税金の支払い忘れになってしまい追徴金を払わなければならないこともありますので、気を付けてください。
一人親方になる際に準備しておくこと
一人親方になるときめた時、すぐに開業届を出さず、準備を行いましょう。事前に準備をしておくことで、スムーズな開業と事業展開を行っていけるのでぜひ参考にしましょう。
【車両】
現場作業で使用するクレーンなどの車両はとても高額です。そのため、ローンを組んで購入する場合がほとんどですが一人親方として独立してしまうと社会的信用度が低いのでローンが組めません。一人親方として開業する前にローンを組んでおくことで余計なお金を払わないことが大切です。
【クレジットカード】
一人親方として事業を行っていく上で、クレジットカードとても重宝します。車両購入のローンと同じく社会的信用が低いと発行できないので、事前にクレジットカードを2枚程用意しておきましょう。
【資金調達】
どのくらいの規模で事業を行うのかで変わっていきますが、開業時に資金がないと上手く経営は出来ません。最低でも100万円程度は用意しておくといいでしょう。もしも自分で用意することが出来ない場合には、日本政策金融金庫などを利用する方法もあります。
【繋がりを持っておく】
一人親方として独立しても仕事を受注できなければ、収入はありません。仕事を受注する方法として営業を行いますが、独立したての事業主はなかなか信用されません。しかし、独立前に周りの人に話をし、可能であれば仕事をふってもらえるようにしておくことで、開業しても仕事に困らないでしょう。
一人親方として開業したら
事前の準備をしっかりと行い、開業の手続きをしたら無事に開業です。開業後に行うことを紹介していきます。
【名刺】
一人親方は、仕事を行うだけでなく営業も行います。営業先に行く際に必要なものとして名刺があります。始めは、知り合いから受注していても仕事を増やしていく際に名刺は必ず必要になりますので、用意しましょう。名刺を持っているだけでも信用になるのと相手に覚えてもらうことが出来ます。
【ホームページ】
インターネットが加速的に普及した現在、集客にインターネットは不可欠です。会社の魅力や受注の窓口としても会社ホームページを作成しましょう。ありがちなのが、最初からデザインにとても力を注いでしまい、コストがかかってしまうことです。始めは、シンプルでもしっかりと会社の良さが伝わるものを作成しましょう。クラウドソーシングサービスを利用すると安価に作成できますが、相手をよく選ぶ必要があります。
【領収書】
個人事業主となったら、会食や備品購入の際の領収書を必ず保管しておきましょう。経費計上をすることで税金対策になります。
【会計ソフト】
一人親方として青色申告を行うには、帳簿をしっかりとつけておかなければいけません。仕訳を日ごろから小まめに行っておくことで、確定申告の際に慌てずに済みます。
仕訳をする際には、会計ソフトの導入を検討しましょう。
パソコンにインストールするタイプでもクラウド型でも問題はないので、自分にあった方を選びましょう。注意としては、会計ソフトを導入しただけで安心し、きちんと帳簿をつけないと確定申告に時間がかかってしまいますので、日ごろから操作に慣れておきましょう。
まとめ
以上、一人親方になるための準備や手続き、開業後について紹介しました。一人親方として独立することで、今よりも自由に業務を行えるようになり、収入の増加の可能性も高まります。反面、責任や仕事量は、増えるので無理なく事業を行っていけるように最大限の準備を行いましょう。とくに人との繋がりはとても重要です。しっかりとしたお付き合いを心がけてお互いが助け合えるような関係を気づいていけるといいでしょう。